プロローグ・旅立ち


旅立ちを決意した私は装備をすべて家に置き、靴とローブだけをまとい家を出た。

新しいスタート地点はブリタニア大陸最大の都市、ブリテイン。

そのブリテインの中でも北に位置する小さな宿屋で、決意新たなスタートを切った。



「まずは、装備を手に入れねばなるまい・・・。とりあえず武器だな。」

路銀は1000gpほど持ってきた。

最低限の装備は調えられるであろう。

しかし、最初の武器はある程度しっかりした物が欲しい。

ここは一つ、職人に依頼して一本作ってもらうことにしよう。

ブリテインの中でも、鍛冶屋が集まることで有名な北鍛冶屋。

しかし、近年は治安が悪化していると言うことで、あえて町はずれの鍛冶屋に赴いた。



・・・当然のように誰もいなかった。

しばし考えた私は、2番目に鍛冶屋の栄えていると言われるヘイブンへと赴くことにした。

思えばこの人生、ヘイブンに訪れたことはなかったように思える。

ゆっくり観光もいいだろう。



鍛冶屋から街道を歩き看板を頼りにトリンシック方面へと歩く。



トリンシックに向かう途中にムーンゲートがあるからだ。


ムーンゲートをくぐり、着いた地はヘイブン。

駆け出しの冒険者が集う島だ。

思えばこの地は長きにわたり、一般人から隔離されてきた場所。

私が来たことがなかったのも不思議ではない話だ。



しばらく町並みを眺めた後、中央区に水場を見つけた。

水そよぐ中カエルが飛び跳ねている様を見ると、遠い故郷を思い出す。

湖に出ると、そのそばに酒場が見えた。

中にはいるとElwoodという男がなにやら話しかけてきた。



捜し物をして欲しいらしい。

どうせ目的もない旅だ、引き受けてみることにした。

頼まれたのは湖でレインボーパールという物を探し出して欲しいらしい。



近くにいた釣り師より釣り竿を購入し、釣り上げることを試みる。



釣りなどという物は幼少の時しかやったことはなかったが、懐かしい物だ。

考えてみれば真珠が竿で釣れるかという基本的な疑問にぶつかったが、

案外簡単にそれらしい物を釣り上げることに成功した。

適当な物だ。エサもないのに・・・

Elwoodにレインボーパールを渡すと、今度はベスパーで絵をもらってきて欲しいとのこと。

ベスパーまでは結構遠い。

しかし、特に急いではいないようなのでその申し出も受けてみることにした。

やはり、旅にはある程度の目的がないと私はダメらしい。


当初の目的であった斧を作ってもらうために、鍛冶屋へと赴く。

そこで職人にしては珍しい、女性の鍛冶師に遭遇。

相談を持ちかけてみることにした。





本来は名を名乗ってから名前を聞いて物を訪ねたいところだが、

この世界では名前で呼びかけないといけないのが慣わし。

どうやって知ったかはともかく鍛冶師のjuraという者に伺いを立ててみた。

jura氏はしばらく考えているようであった。



その間、destinという者が、私にプレートメイルの足をくれた。

なんだかわからないが「うい」と言っていきなり渡してきたのだ。

全く、世の中にはいろいろな人間がいるものだ。

jura氏は、「斧ですか・・・」といった後に、またしばらく黙ってしまった。

もしや何か斧では都合が悪かったのであろうか。

私が「む、難しいですか・・・?」

と問うたところ、

jura「今のところ良い斧の在庫がありませぬ・・・」

との返事。

どうやら、良い斧の在庫がないのを悩んでいたらしい。

普段ならば良い斧の方が当然良いのだが、路銀の少ない私には

仮にそんな斧を出されてもおそらく買うことができないであろう。



「いいえ、HQで結構。」

予算を考えた上でそう言った。

jura「それでは一本作りましょう。鉄でかまいませんか?」

Seven「お任せしますが、予算は300gp程度で」

通常のHQならば現在ならば150gpもあれば買えるであろう。

しかしあえて、敬意を払って倍の金額で申し出る。

jura「では少々お待ちください」

そう言ってjura氏は奥へと入っていった。

そして数刻後。

jura「300gpでいかがでしょう?」

Seven「これは・・・」

そう言った私に手渡されたのは紫に輝くダブルアックスであった。

私は300gpを渡し、商品を受け取った。

jura「不要なダルハンマーで打ってみたのですが、運がいい」



Seven「いい色をしている」

赤いローブ・靴にぴったりと合う紫の斧。

まさかこんな物が手にはいるとは思わなかった。

jura「お買いあげありがとうございます」

Seven「この斧でもって諸国を漫遊してみます」

jura「がんばってください」

Seven「では、ありがとうございました」



特別な能力はないが、何にでも使える丈夫な斧だ。



ついでにもらったプレートメイルの足もjura氏の銘が入っていた。

大切に、ありがたく使わせていただこう。

住み慣れた町ムーングロウに戻ってきた私は、早速試し切りをしてみた。



相手はモンバット。

当然のように、紙のように斬り倒した。

続いてアンデットでも斬ろうかと思ったが・・・



いかんせん数が多い。

防具のない今、この数は危険だ。

ムーングロウの町に走り、防具屋で装備を調える。

リングメイルの鎧・腕当て、小手。

プレートの首当てにかぶり慣れたクローズヘルム。

足には頂いたプレートの足を装備し、最低限の装備は整った。



包帯を作るために、裁縫屋でハサミを購入した。



これで回復にも困らないであろう。

残った金額を奉納するために、行き慣れた土地イルシェナーの霊性へ。



稼ぐ術を得たために路銀の残金をすべて奉納。

これで神聖なる技も使える。

そして、再びアンデットを斬りに赴く。



斧の切れ味はよく、スケルトンたちを一撃で切り伏せることができた。

これならば、当面の旅路には困らないであろう。

その日はもう遅いので、よく使っていた無人宿、「ツインオークス」へと向かう。



相変わらず誰もいないが、休息を取るのには十分だ。

こうして私は、1日目の旅路を終えたのであった・・・